得意な作業ができるまでの話

製甲(革の加工、組み立て) と 底付け(釣り込み、靴底取り付け) が1級合格時は、今よりずっと技術不足だったと思います。
いまは、随分と技術が向上しました。

合格したものの。
当時は、1級下限ギリギリで、仕方なくて合格させてくれたのかもと思いました。

受験前は、吐き気するほどミシン踏みましたし。
見たくなくなるほど、同じ作業を繰り返したんですけど。
それでも、ギリギリなんだろうと。
先生と比べると、瞬間で判断できるくらい下手だから。

合格したら、急に不安というか。
他の1級取得者の方に申し訳ない気持ちが生まれまして。
「あいつ取れるなら 1級誰でも取れるんじゃねえの」と思われる原因になりそう。。。

合格後は、そこからの、更なる向上を求めてきました。

話変わりますが、
1級の試験には存在しないのですが、一番得意なのは「型紙」だと思っています。
デザインの再現性。
釣り込み時、革への負担の少なさ。
強度。
いろいろなことを踏まえて、型紙を作っています。

何度も何度も汚い製甲をして、何度も何度も汚い釣り込みをして。
ミシンが悪いのか、組み合わせが悪いのか。
型紙が悪いのか。何が影響したのか、一つずつ点検。
何回も何回も裁ち方、調整のやり方を変えて点検しました。

やってきたから思えること。
点検って、先生がそばにいる必要ないと思う。
自分でできることだから。

ビーカーの中に、溶液aをいくつ入れたら、こうなった。
溶液bをいくつ入れたら、こうなった。
記録して、考察して、点検して、また戻る。
科学の実験と同じ。

それは、先生がそばにいなくてもできること。
自分しか感じないこと、自分で確かめるしかないから。

そのうえで、先生の見本を見ていると 感じるものがあるのです。
俺、あのことに気づいていなかった。。。って。
やりこむと、ズレを感じられるのです。

向上したいなら「自分で学び方を考えること」は大切だと思っています。

最初は、どうやって作るのかも分からない型紙でした。
習っても分からないし、本読んでも分からないし。
分からないから聞きに行くんじゃなくて、分からないながらもやってみる。
あの頃、よく向き合ったと自分で思える。

そうしているうちに、いつの間にか一番得意な作業になってました。

製甲と底付けは、1級持っていますが いつも難しいのでいまだに得意とは思えません。
いつも難しい。
何回作っても、難しいです。