靴職人コース 指導方針
靴職人コース 学習内容
対象
■ 靴職人コース(作り手として独立)は、履き心地の良い靴作りを学びたい方を対象としています。
足に応じた木型補正、履きやすいデザイン、壊れにくいデザインと縫製、資材の加工精度、道具の仕立て、包丁研ぎ、革に応じた手での釣り込み、手縫いによる緩みのない底付け、左右の高さを合わせたヒール作りなど。
靴作りにかかる全ての要素を、精度高く学んでいきます。
■ 仕事に活かすコース(修理業・生産工場勤務)は、現在、靴修理業従事者、工場従事者を対象としています。
修理技術の向上、靴への理解向上、資材強度の理解、道具の仕立て、望ましい使い方、を学びたい。
慣れによる解決ではなく、根拠のある選択、理解による判断、仕立ての良い修理。
日常業務に活かしながら学んでいきます。
■以下の希望は、プロコース対象外です。
・プロになる気はないけど、他校よりも安価に覚えられるから靴職人コース希望
・靴磨きしていて修理覚えたいから靴修理コース希望
・2年くらい学んで靴職人になりたいから靴職人コース希望
・個人事業で革産業(鞄、小物)従事者。靴も売りたいから靴職人コース希望
・自己表現(芸術・美術)のために靴職人コース希望
・”履きやすい” より ”ハンドソーンウエルテッド” を覚えればいいと思ってる方
靴を作る 修理する ”技術”を学ぶ場であって、作り手の自己表現のための”アート”、”芸”を学ぶ場ではありません。
“靴で困っている人に喜ばれる靴” を学ぶ学校です。
はじめに
私に学んだ方には、「先人の教え、技術」をその次世代へ繋いでほしい。
そのために「靴職人コース、仕事に活かすコース(修理業・生産工場勤務)」を運営しています。
どちらのコースも、「手順を体験して覚える教室」「作っているうちに覚えていくだろう教室」ではありません。
「手順体験型」では、「外側だけ靴に見えるもの」になると思っています。
その人の理解に応じて、説明内容も説明時期も変えて進んでいきます。
オーダーメイド型の学び舎です。
習う側は。
いつに何する課題が示され、課題のとおり進むことで「安定して覚えていける」を想像するものです。
ですが、得意不得意の発生、理解していないまま進む、講師の説明力、講師の技術力など未知数です。
「ついていけない 理解が甘くなる」かもしれません。
そもそもで「課題」なるものも、学ぶ上で必要なのか否かの判断ができないわけです。
私から離れた後に、活きる技術、活きる基礎理解、基礎技術を学ばなくてはなりません。
基礎がなければ成長できる高さは、あまりに低い。
考えてほしいのです。
全国にある学び舎から、独立志向の学生さんが年間何名卒業しているのでしょう。
仮に100名いるとします。
そして、それは約20年前から行われています。
そして、この間何名が開業しているのでしょう。
一番は、事業を継続できている人は、どれだけいるのでしょう。
「英会話教室に通ったけれど、覚えられないまま頓挫した」と同じように見えるけど、私は違うと思います。
「手順を体験して満足させる」ことと、「いつ何すると決まった課題をやったけど理解が甘い」を組み合わせると、悪い結果になりやすい。
無知な学ぶ側が、体験したことで満足して終わってしまいやすい。
重ねて、「そもそも不出来すぎて、人に見せられない」場合は、「やっているうちに覚える」という思いになる。
それは、「やりがい搾取」になっているかもしれません。
結果、「覚えられないのは自分が理解が悪いから」と落としどころをつけてしまう。
「履けなかった」、「不細工な作りしかできなかった」、「形にはなったけれど、まるで覚えられなかった」
仮に、独立志向の者が20年×100人がいるならば、「靴作りに興味あるから知ってる人いないかな」と周りを探せば出てくる人数だと思いませんか?
高額な学費を払ったにも関わらず、作ったものを見せられない程度だったと思うと、人に教えられなくなるそうです。
私の教室の生徒さんは、趣味コースもプロコースも「靴作りを学んでいること」を周囲へ伝えています。
日常で履いていますし、家族や友人から頼まれてきます。
「何かを学べる」という耳障りの良い提示よりも、「日常で履いているのか?周囲へ伝えているのか」だと思います。
私が受けた相談です。
「プロコース含めて、6年間学んできたけれど靴にならない。包丁も研げないし、先生から包丁いらないと言われている。」「教えられたとおりにやったけれど、一足も履けない。」など、同じ相談を何名からも受けてきました。
私自身が靴作りを始めたときに出会った者、辞めていく姿を何名も見てきました。
「やりがい搾取」は、教える仕事をしている者として許せません。
「やりがい搾取」を受けると
時間は過ぎていくのに、学ぶことも、覚えていくこともできていない。
明日、何を勉強したいと前向きになれなくなっている。
「靴作っているんだよね ?」と、周りの人に聞かれることが辛くなっていく。
靴作りをしていたことを誰にも言わないまま物づくりさえ辞める。
もう一つの原因(そして、一番の原因)が、指導者の人間性です。
怒鳴ったり、責めたり、質問できない空気を生み出す。
聞きたいけど、聞けない。
機嫌を損ねると、教えてもらえないかもしれない。
そんな指導者に学べば、覚えられるわけがないのです。
地位や優位性を理由にパワハラを繰り返す。
「下手がバレるから、都合悪いから質問させないようにしている」
前職、説明する仕事をしてきて、そうとしか思えません。
王様になるために主従関係を作っています。
教える仕事をしている者として、これを最も嫌っています。
私の教室で最初に伝えていることです。
「さっき聞いたばかりでも、違うときでも、何度でも、同じことでも、いつでも質問してください」
指導が未熟、技術が未熟、人間性が未熟、いずれかでも あなたが覚えられない原因になります。
「手作り靴」は、街に一軒無いような産業なので他店と比較できない。
誰かに習ったのちに、改めて習うということを「前納した高額な学費」が足かせになってできない。
また、同じ嫌な思いをするかもしれない。。。
また、同じ程度の学びになるかもしれない。。。
そのため、「ここで頑張るしかない。怒られても、いまは我慢するしかない。」になってしまう。
そんな方の相談を、何度も受けてきました。
指導者の人間性によって、覚えられない時間を過ごす。
靴作りが楽しくない。
辞めたくなる。
指導者の人間性は、学ぶ側にとって最も確認すべき事項です。
だからこそ、生徒さんの顔、学び方、指導方法、完成した靴を見学で確認することが必要です。
そして、
多くの方は、「組み立て方、手順」を学ぶことで「靴を作れるようになる」と思っています。
それは違います。
「組み立て方を学ぶこと」で、靴を作れるようにはなりません。
先人が積み重ねてきた「やってはいけないタブー」を学ぶことが最も大切なことです。
先人の靴職人たちが積んできた「やってはいけないタブー」を学び、守り、望ましい技術を学び、新しい資材を取り入れながら「お客様の悩みに寄り添う靴を作る」「お客様の悩みに寄り添う修理をする」。
それが、基礎力となり、技術となり、学びになります。
構え方、持ち方、見立て、精度、手順、すべてに「やってはいけないタブー」があるのです。
私に学んだ方には、「先人の教え、技術」をその次世代へ繋いでほしい。
「かっこいい靴」よりも、「歩きやすい靴」
「製法」よりも、「また履きたくなる靴」を作ってほしい。
靴で困っている人へ技術で問題を解決する「靴職人、靴修理職人」になってほしい。
「自分の技術で悩みを解消してやる」という気概の者になってほしい。
靴職人、靴修理職人として、私信の無い判断を行う人が増えてほしい。
「靴作家・靴を題材にしたアーティスト」ではなく、「技術者」として「技術向上」に向き合ってほしい。
「技術」は、向き合った時間に応じて必ず覚えられます。
焦らず、向き合い続けることが大事です。
日頃から、相手を尊重できる、思いやりをもって仕事をしている方。
私は、経験や技術よりも、「人間性、心根」を重要視しています。
これらご理解のうえで、プロコース見学のご連絡をお願いします。
指導方針 (私の経験から、しっかり書いてます。長文です。)
靴作りとは、およそ250工程あると言われています。
大きく分けると、「デザイン」「型紙」「製甲」「底付」に分かれています。
その工程を怪我なく、スムーズに進行するためには 「資材の選択」「器具機材の使い方」「道具の仕立て方」があります。
お客様の足に合わせて作るための「木型選択」「木型補正」があります。
そして、「足のこと」「 歩くこと」「健康被害」についての理解が求められます。
「デザインと型紙」
足が不快感を持ちにくいこと、壊れにくいこと、履きやすいこと、履きたくなることを設計、デザインします。
強度の確保、足への寄り添い方など同時に注意して設計します。
そして、大量生産品では生産性も考えて設計します。
「製甲」
強度確保が守られている縫い方、不快感を少なくする合わせ方、ミシン糸の締まりなど、多くの注意を重ねて作ります。
「底付、資材の選択」
お客様の使用環境、足の健康状況に応じて複数種の製法で仕上げます。 (セメント製法、マッケイ製法、ハンドソーンウエルテッド製法など)
「器具機材の使い方」
道具の 持ち方、構え方、使い方。誤ったときに製品に傷をつけてしまいます。
また、怪我しやすくなります。
「道具の仕立て方」
道具に100%の本来性能を持たせるよう仕立てます。 靴作りの全ての道具は、加工して使うように作られています。
誤った仕立て方をすると、怪我しやすくなります。
「木型選択・木型補正」
お客様の足のサイズ、大きさ、バランス、健康被害を考慮して、木型を選択、補正を行います。
「足のこと、歩くこと、健康被害」
靴は歩くための道具であり、見るためのものではありません。
歩行に対する勉強、足に対する勉強、健康被害の勉強に対して、常に向き合い理解を深めていく必要があります。
成長していると実感することの大切さ
250工程のそれぞれに難しさがあるため、限定した期間のなかで多くの靴種を覚えようとするとXヵ月にX足の速さで作ることになります。
しかし、課題に追われてしまい理解が浅いまま進んでしまうこともあるかもしれません。
その結果、形にはなったものの、「どの材料選べば良いか分からない」、「どうしてこのやり方なのか分からないけど、やっている」になるかもしれません。
「ある一つの工程手順を知っただけ」になってしまいます。
採用した根拠は、自身の中から生まれていません。
物作りは、基礎をしっかりしないと追熟しないと考えます。
基礎があるからこそ、手を動かし追熟することができ、自分で作れるようになるのだと実感しました。
そのことから、プロコースでは、「基礎知識」「基礎技術」「作業目的の理解あるうえでの技術研鑽」を柱に進めていきます。
「●●万円の学費だからきちんと教えてもらえる」とか「●●万円だから、きちんと教えてもらえない」と思われる方がいるかもしれません。
作り手が考える靴作りは誠実にお伝えいたします。
設定した学費は、ミシンや道具が欲しくなることが想定できるので負担を少なくしたい思いからこの価格にしています。
社会人になってから学ぶことは経済的負担が多く発生します。
限定した期間で取り組むことを決め、退職して貯金を切り崩して学ぶこともできます。
しかし、学び始めてX年後に「開業できる技術を得た」と思えなかったとき経済的負担、生活不安、将来不安が残ります。
学ぶなか、心が靴作りに追われてしまい、向き合えない気持ちになるときがあります。
経済的負担から辞めたくなるかもしれません。
どんなに覚悟を決めても、大きい投資に見合う回収ができるか分かりません。
どれだけ通えるかも、やっていけるかも。
覚えることができたか、やる気が維持できるかも、何も分からない。
やる前は、何も分からないのです。
やる前に思いこまず、まずは、やってみて考えていけばいい。
どんどん覚えたくなったら、通学回数を増やしていけばいい。
覚えたいことも、面白さも、難しさも、やってみて分かります。
始めてから知ることができる。
そして、覚えていくなか、「そのとき、そのとき やれることをやってみる」
腕を試しながら、不足を学んでいけばいいのです。
「理解」には、直接靴を触っていないときの時間も大切です。
時間を重ねるなかで、理解のきっかけに出会うことがありますし技術を手が覚えていきます。
アンテナを立て続けることで、あるとき出会うのです。
靴作りを学ぶには、浸透していく時間が、とても大事なのです。
浸透することは、本当に少しずつでした。
少しずつだけど自分は成長していると実感することが、とても大事なのです。
そして、学びとは、成長している自分にワクワクしてきて、楽しくなるものです。
進み方
プロコース 現在、靴修理業、靴製造業、靴小売業、従事者の生徒さんへは。
靴作りを学びながら、「現在の仕事に活かすための学習」を主に行います。
修理技術の選択肢が増えること。
靴種、製法への理解、お客様の足との相性など、販売技術の充実に向けた指導。
「修理店、小売店」として独立したい方を対象にしています。
プロコース 靴職人コースを志す生徒さんへは。
靴作りを学びながら、いまの課題を超えるよう取り組んでいきます。
課題を示しますので、自宅にて、基礎技術の練習をします。
提出いただき、指導します。
コンテストなど行われる場合は、エントリーします。
複数足作成後は、販売する場へ出店します。
(プロコース 仕事に活かす方は、課題は求めません。)
お金をいただくことで「正しい指摘」「正しい評価」をいただけると考えています。
そのとき、必ず課題が生まれます。
その課題に向き合う中、「どうしてこう なるのだろう」「何が駄目だったのだろう」「何が良かったのだろう」が自身の心から生まれます。
私から「どうしてこう なるのだろう。と思うように」と指導することは意味がありません。
「どうして」を生み出すには、考察、取組、そして理解が繋がるための自身での努力と時間が必要です。
「習えばできる」のは、ただ一つの処理手順でしかなく、応用を効かせられるのは「向き合って、考察し、検証した者」だけです。
「習えばできる」手段は、靴の形をしたものでしかなくお客様からの要望に応えられないのです。
作りの甘い靴は、信じて頼んだお客様が困るでしょう。
靴の形にするということと、靴を作ることは違います。
靴職人コースは、靴を靴として作る。
常に意識して学びます。
1年間でプロなれますか? 仕事を辞めて1年でプロになれますか? と聞かれることがあります。
作ったことがないから思えるのかもしれません。
私は、一足作って改めて考えていただければと思っています。
例えれば、
初めてピアノに触れて一年後にプロとして演奏できると思えますか?
靴の形にすることを覚えるのではなく、「靴を歩く道具」として作れるように靴作りに向き合っていただきたい。
私は、「革、木型、製靴道具」を使っているので「靴」とは捉えていません。
それだけでは、「靴」にはなれません。
先人の日本の靴職人が研鑽してきた技術は浅くありません。
履く人を思い、歩くことを考えて研ぎ澄まされてきた技術だと思います。
理由のない木型補正は、改善ではなく改悪。 家を出て、駅まで歩くことはできません。
既製品よりも、ずっと歩けません。
更には、健康被害を悪化させます。 履き口も開いてしまうこともあり、歩けないでしょう。
素晴らしい技術理由を謳ったとしても、履いて問題があるのならばその理由は適当ではありません。
靴は履いて良し悪しを判断するものです。
生徒さんへ「作った靴の感想」を聞いてください。
どれくらい履いているか、歩きやすさなど最も信頼できる情報ではないでしょうか。
理由のないデザイン、設計 は、壊れやすく、痛みやすい。
革を切る前段階で、どこがどう壊れるかが分かるのです。
技術のない底付けは、木型補正したとおりに革が木型に寄り添いません。
木型補正は活きません。 同じ木型、同じ革を使っても毎回、違う感想になるでしょう。
理解のないミシン、革漉きは、壊れやすいように加工してしまう。
組み立てながら、壊しています。
出先で壊れたり、作ってすぐに壊れたり、簡単に発生するでしょう。
理解がなければ、何が駄目でこの結果になったのか、絡み合い過ぎて見えなくなるのです。
そして、良薬を渡しているつもりで毒を渡していることになります。
一つ一つが相互作用しているのです。
「靴作り」は、特別な覚え方、考え方ではありません。
他と同じです。
「独立・自営・開業」など、夢や情熱が高まると、このような見方を忘れてしまいます。
楽器は、「基礎練習」がなくとも、なんとなくやっていればメロディになるでしょう。
ですが、「弾ける。吹ける。」と言えません。
基礎を学びながら、反復しながら、自習という努力を重ねる方が演奏できるようになっているのではないでしょうか。
限られた時間で学ぶのではなく、しっかりと向き合う進め方を提案します。
向き合い続けることで、あるとき突然気づいたり、閃いたりします。
そのためには、時間が必要です。
時間をかけて、しっかりと学べるよう学費を抑えています。
「限られた時間」を設定すると、「何があっても覚えてみせる」という気持ちになりやすい。
そんな気持ちであっても、そんなに簡単じゃないことが、やってみるとよく分かる。
見学時、既に学んでいる生徒さんへ、
どれくらいの期間学んで、どう思ったか。
覚えるのに、どう思ったか。
どんなことでも聞いてください。
楽しそうな顔しているか、やりたくない顔しているか とか、いろんなことが分かると思うのです。
ハンドソーンウエルテッドが作れたら、何でも作れるんですよね?と聞かれます。
製法は、靴底を取り付ける手段でしかありません。
履き心地も寿命にも、何も関係しません。
靴作りの難しさも、セメント製法とハンドソーンウエルテッドに差はありません。
ハンドソーンウエルテッド製法とマッケイ製法なら、マッケイ製法の方が履き心地良く作れると思います。
山靴に望ましい製法であれば、硬くて街歩きには不向きです。
逆に、ダンスシューズに望ましい製法であれば、山歩きには不向きです。
労働者の靴と、貴族の靴では製法も違います。
そうやって、製法は生まれてきたのです。
向き不向きは、製法の個性です。
場所、用途に応じて「履き心地」の評価は変わります。
個性には、硬さ、しなやかさがあるため、「履き心地」を混在させてしまいますが、
製法による難しさの差はありません。
「難しい」ではなく、「精度を求められる工程が多い」です。
「工程数が多いから難しい」にもならず、「工程が少ないからこそ難しい」もあります。
手縫いには手縫いの難しさがあり、セメント製法にはその製法なりの難しさがあります。
A製法が作れるから、B製法も作れるとはなりません。
主観ですが、革の厚み、革の柔らかさ、型紙の精度、釣り込みの難しさを考えると、紐靴を作ることができても、パンプスは作れないかもしれません。
セメント製法は初心者向け、簡単な製法ではありません。
ハンドソーン製法は、上位技術者向け、難しい製法ではありません。
工程が多いハンドソーンウエルテッド製法だから、この製法が作れたら、他の製法は軽くこなせると思われやすいのですが違います。
何に関しても、あれができるから、これは簡単とはなりません。それぞれ難しさがあります。
製法は、お客様の要望、足の状態に応じて採用すべきもの であり、●●製法ありきではないのです。
お客様の要望に応える選択肢の一つでしかありません。
別の側面から考えます。 A製法で作った靴は数万円の修理代がかかり、修理期間は1カ月かかる。
B製法で作った靴は数千円の修理代がかかり、修理期間は1週間かかる。
このとき、その靴を主で使用しているお客様はどう感じるでしょうか。
ランニングコストの面からも資材採用、製法採用に影響するのです。
また、ゴム底だから安価であり、革底だから素晴らしいような考えもありません。
ゴム底にはゴム底の良さがあり、革底には革底の良さがあります。
同じように、お客様の要望、足の状態に応じて採用すべきものです。
滑りにくさ、転びにくさ、美しさ、恰好良さ、 お客様は腰が悪いのか、外反拇趾なのか・・・。
沢山の情報のなかから最善を考え選択するものです。
だからこそ、基礎力、基礎理解が必要なのです。
なお、「パンプス」は最も単純な構造でありセメント製法が主ですが、作り上げることは最も難しい靴です。
婦人靴は、「革が柔らかく薄い」
紳士靴は、「革が厚い + 裏に芯地を貼っている」とは違います。
力まかせに釣り込むとデザインのとおりに再現できません。
甲がない靴なので、型紙の精度が悪いと淀んでしまう。
不適当な木型補正をすれば、市販品のパンプスは履けるのに、自分が作ったオーダーパンプスは履けません。
歩いて10分もしないで、痛くて歩けなくなります。
履けるパンプスを作れることは、当教室の良いところです。
生徒さんは、美しい形のパンプスを作っています。
そして、ハンドソーンウエルテッド製法でドイツ国際靴職人技能コンクールで金賞、名誉賞獲っています。
足に応じた製法選択できることも、当教室の良いところです。
「靴職人コース」を希望することは、人生に影響あるかもしれません。
私は
・1回の出費を大きくすることで、生活が不安定になりやすいことを避けたい、
・収入を得ながら道具やミシンを揃えていってほしい、
・課題に追われて甘い理解で進まないようしたい、
・靴作りの理解を深めてほしい、
そのためには、働きながら、道具を揃えながら、学んでいただきたいと考えています。
退職して背水の陣をひいてはなりません。
何人も見てきて、誰も望んだ未来になっていない。
いまの仕事を続ける、靴産業に転職する、収入を得ながら学んでほしい。
当教室で学ぶメリット 生徒さんへどんなことでも聞いてください。
◆丁寧な靴作りを学びます。
手作り靴だからこそ、より精度のある靴作りをしたいと思っています。
靴を靴として作るための精度を学びます。
そして、見た瞬間に「雑」と感じる靴にならないよう、丁寧に作っていきます。
芸術品ではなく、日常使いする道具。
丈夫で、精度の高い道具。
履く人に優しい道具を作ることを学びます。
靴を靴にするための精度と、丁寧に作ることは、とても大切にしています。
◆ハンドソーンウエルテッド ~ パンプス を学びます。
革の厚みのある紳士靴。
手縫い靴である「ハンドソーンウエルテッド」「手縫いマッケイ」
革が薄い婦人靴。
セメント製法の「パンプス」
変わった形の靴。
ノルウェー製法の「チロリアン」や「ブーツ」
など、紳士靴も婦人靴も作れます。
「紳士靴作れることは、婦人靴も作れる」ということではありません。
革に応じて、どちらも釣り込めること、手縫いの靴作りもできることは、当教室のメリットです。
生徒さんへ、紳士靴と婦人靴は違いなど聞いてみてください。
◆学費・講師のこと
一年、二年程度の勉強を終えたばかりの者が補助、指導していません。
革靴製造一級技能を有した者が直接指導します。
身内、友人ではないお客様に相当数の靴を販売してきてから店を構えています。
(学校を卒業して、すぐに講師になる。教える。販売経験が少ないままお店を持ったわけではありません。)
先生とお客様に、靴を育てていただきました。
また、前職時代は高級紳士靴を沢山履いてきましたので、既製品の良さを知っています。
履いてきて作り手になるのと、履いてこないで作り手になるのとは、作りが違うと信じています。
既製品の良さを知っていることは、私の背骨になっています。
そして、勤め人として生活してきた期間がしっかりありますので、責任ある仕事を学んできました。
人生経験を活かした、靴作りをしています。
靴の形ではなく、靴を靴として作ります。
学費は学びやすい価格にしています。
受講期間を気にすることなく、しっかりと技術を学んでいくことができると思います。
覚えながら、最初は友達へ 家族へ。次に販売会へ。と段階踏んでいくことを提案します。
始めは、月2回から月4回で十分。
月11,000円~月22,000円 から始めていいと思うのです。
◆指導
前職は「説明する仕事」でした。
説明する訓練を行い、説明することの難しさを実感してきました。
「作れるから、教えられる」と、単純にそうはならないことを経験してきました。
講師と生徒の間柄になると、パワーバランスから「言われたとおり聞く」になりやすいのです。
「何を説明しているのかよく分からない。」
説明技術がない者、説明する気がない者に説明されると、まるで理解できないのです。
講師、生徒、相互理解できるよう進めていくことが大切です。
パワーバランスの悪い形を例えば。
完成後、うまくいかないとき、「あなたの身体に問題があるから」と言えてしまうでしょう。
いますぐ改善できないオチをつけて「後付け論」をまかり通してしまえると思います。
完成前から事実として整理できていることを踏まえて作るのが誂え靴です。
そのことを診るために、技術、理解を高める必要を説いています。
しかし、作ることができる講師から、そのような説明を受けると
「私の身体のせいかな」「私の理解不足かな」と思ってしまうでしょう。
生徒さんの身体のせいでも、作りのせいでもなく、講師である私の指導不足、理解不足が原因です。
私からの指導を受けて作って、うまくいかないときは、講師である私の責任です。
質問のしやすさ、聞きたいときに聞ける人間性、相手の理解力に応じて説明すること。
質問しにくい指導者では、学ぶ方が伸びることはできません。
「やれば分かる」という指導もしません。
「後付け論」を語ることもしません。
それらは、前職時代から指導責任を放棄したやり方、ごまかすやり方だと思っているからです。
「分からないから学んでいる」ということを心に置いて指導しています。
生徒さんへ「理解できるように説明しているか」聞いてください。
◆技術・木型補正・シューフィッティング
技術力は、第三者より認定された革靴製造一級技能を製甲と底付けの2種類取得しました。
靴は分業制のため、一種類の取得の方が殆どです。
1種類取得した方が教える教室であっても、ほぼ存在していないと思います。
靴作りのおおよその部分で、1級取得していますので安心していただけます。
パンプス、ハンドソーンウエルテッドなどの手縫い靴を作ること。
パンプスの木型補正、紐靴の木型補正、シューフィッティング技術を学べる事。
ドイツ国際靴職人技能コンクールは、ハンドソーンウエルテッド製法で金賞、名誉賞を獲りました。
足合わせについては、シューフィッター最高位、バチュラーの生徒さんへも指導しています。
技術査定の技能試験、商品としての技術審査、どちらも第三者評価受けています。
技術力は分かりにくい、見えにくいので、このことは当教室で学ぶ大きなメリットだと思います。
修理店、販売店、工場勤務の生徒さんへ、私の技術力について聞いてください。
◆靴修理
靴修理を行っている者が教える靴教室はあまりありません。
靴修理店に勤めながら学んでいる生徒さんにも指導しています。
修理技術を学ぶことができます。
修理店の生徒さんへ、どう技術力が上がったか聞いてください。
修理品の状態把握、加工手段、終了までの形がすぐに浮かぶようになったと聞いています。
また、加工精度が大幅に向上したと聞いています。
◆道具の仕立て
道具は、加工することを前提に作られています。
包丁の研ぎ方を学んできたけど研げない者を何人も指導してきました。
包丁、コテ、ハンマーなど、靴作り道具は全て加工することが前提です。
当教室は、道具の仕立てについても学ぶことができます。
私は、包丁が切れなければ「手製靴」は作れないと思っています。
道具の仕立てが甘いと、見た瞬間に「雑」という印象が出ると思っています。
最後に
私は、先人の技術、成熟度を下げないようにして繋ぐことが「いまを生きる作り手」と思っています。
自分の先生から受けた技術を繋ぐ。
自分の技術を常に高める。
そう思っています。
私の教室を見学に来られる方は、沢山の教室を見て選ばれたと思います。
写真も大きく見れるようにしています。
これまであった質問も、自分が習う側に立って書いているつもりです。
かなり調べて、隅々まで読んで来られる方ばかりです。
そのうえで、
ホームページに謳われた言葉、歌われた技術。
私がホームページに書いた耳障りのよい情報ではなく、生徒さんがどのように学んでいるか、どんな靴を作るか。
講師の私が作った靴はどんな技術力か、講師の指導姿は。教室の雰囲気は。
私と生徒さんに直接聞いてください。
私も面談する方へいろんなことを聞きます。
私に習った方には、履き良い靴を作り、靴に困っている人を減らしてほしい。
そして、技術を次へ繋いでほしいと思っています。
気になったとき、質問できる人間性。
分からないとき、分からないと言えること。
技術は大事です。
でも人間性は、もっと大事です。
先生に習ったことで、改めて思います。
怒鳴ったり、威圧したりする指導者は、下手がバレたくないから。
思いやりや優しさのない人間性では、指導者、技術者にはなれないと思っています。
私の先生が気持ち入れて教えてくださったことへの礼は、次に繋ぐことだと思っています。
プロコースは、この想いで運営しています。