靴作りを伝える者なので、「先生これでいいですか?」と聞かれます。
そのことについて、心に留めていることを書きます。
私の教室では、当然ながら「私のやり方」を伝えています。
これでいいか悪いのか、当たり前ですが回答します。
そのうえで、仮に他のやり方、他の人が教える内容と違った場合。
それは誤っているのかと言えばそうではありません。
靴を作るための作業手法、作業手順は、その人それぞれでいいと思っています。
靴を作る人、靴教室の先生、みんなやり方違っていることはおかしいことではありません。
先生の言葉で 心に留めている話。
昔の職人さんは工場を渡りながら賃上げしていった話を聞きました。
工場内で同じ作業をしていても、働く職人、全員が給料違う話。
腕が立つと聞こえると、よそから引き抜きされて。
それを何回も繰り返して賃上げしていった話です。
サッカー選手みたいに移籍していく話。
すると最後には、みんな一流ばかりのスター集団の工場に行きつくのだそうです。
そこでは、その人だけが持つ「必殺技」は別として、基本的な動きが「みんな似ている」のだそうです。
この話、技術者としてとても大切にしています。
ありがたい話を教えてもらえました。
「どうして、こう考えているのか」という見方。
それは、とても大事です。
「みんな違うやり方」は正しい。
反面、「上手い人はみんな似たやり方になる」
「上手い人はみんな似たやり方になる」を心に留めて向き合いたい。
簡単なすぐに終わる作業にも、理解がある動き、理解ある形にしていきたい。
デザイン、木型、資材選択、履く人が心地よい靴を作りたい。