靴作りで使う道具は、すべて加工することを前提に作られています。
たとえば、Aさんの使い方に合わせて微調整される道具、Bさんの使い方に合わせて作られる道具があります。
そのため、どの道具も少し余裕を持って作られていて、使う人に合わせて仕上げていく楽しさがあります。
プロコースでは、単に道具を使うだけでなく、道具そのものを仕立て、微調整する技術や知見も習得しています。
革包丁の重要性
靴作りを始める方の中には、
「革包丁を砥石の上でこすれば自然に切れるようになる」
と考えている方が多いのですが、実は砥ぎ方に技術があります。
- 切れない包丁は怪我の原因になります
- 切れない包丁では、革を薄くする精密な作業ができません
- 中底(中敷きの下にある材料)を正確に作ることも難しくなります
つまり、包丁が切れることは靴作りにおいてとても重要です。
市切りと呼ばれる道具も同じで、切れないと履き口がガサついた仕上がりになってしまいます。
当教室では、道具の仕立てや砥ぎ方に関する知見を持っており、切れ味や精度を最大限に引き出す方法も指導しています。

革包丁を研ぐ技術があるかの判断
革包丁を研ぐ技術を見極める方法もあります。
裏刃(包丁の裏側の面)を使って革を漉こうとしたときに、漉けなければ包丁を研ぐ技術不足です。
- 普通に真っすぐ切れるだけでは、包丁の本当の性能はわかりません
無理に力をいれて、「切れる ではなく 切った」がおきているだけ
こうした道具の性能を理解し、仕立てる知見は、靴作りを深く理解する上で非常に重要です。

革を引っ張る道具「ワニ」
革を木型に寄せながら引っ張るための道具を「ワニ」と呼びます。
日本製のワニは、数年前に最後の職人さんが亡くなり、もう作れる方はいません。
- 現在は海外製や材料屋さんオリジナルのワニで代用可能
- 質の良いものが揃っており、作業には問題ありません
当教室では、こうした希少な道具の特性や使い方を熟知しており、必要に応じて微調整や補修を行いながら、最適な作業環境を提供しています。

ハンマーの重要性
靴作りで「ワニ」と思われがちな道具ですが、実はハンマーの方が重要な場面が多いです。
- 重さや柄の長さが自分の手に馴染んでいるかで作業精度が変わる
- 違うハンマーでは同じ作業ができないこともあります
- 関東ではこのハンマーを「ポンポン」と呼びます
当教室では、ハンマーの重さや形状を生徒に合わせて微調整する知見も持っています。道具を仕立てる技術を活かすことで、精度の高い靴作りが可能です。
道具の楽しさ
靴作りの道具は、ただの工具ではありません。
- 使い手に合わせて仕上げていく楽しみ
- 道具の性能を引き出すための技術
- 職人ならではの微調整
当教室では、道具を仕立てる技術・知見と、使いこなす技術を両方学べます。
これにより、生徒一人ひとりに合った作業環境を整え、靴作りの楽しさと精度を両立させています。
初心者でも、道具の扱い方や仕立て方を学ぶことで、**「道具を味方にして靴を作る楽しさ」**を体験できます。


