パンプスの難しさ - 白桃花靴店

靴作りに想うこと

パンプスの難しさ

投稿日:2019年9月20日 更新日:

靴を考えたとき、構造体としてはパンプスがパーツ数も少なく構造も簡単です。
ですが、足に合わせるとなると、最も難しいのがパンプスです。

パンプスの特徴として、紐がない。
紐が無いと言うことは、甲を押さえる面がない。
足が抜けやすいということ。

紐靴に比べてヒールが高い。
ヒールが高いと、体重の加重割合が変わる。
裸足で歩いたときと姿勢が違うということ。
裸足の形状も姿勢に応じて変化するこということ。
それは、パンプス独特の木型形状になるということ。

パンプスが合わないと困っている方の足は、どこかに特徴があります。
外反拇趾、内反少趾、偏平足などの健康被害。
そして、足の個性も影響します。
それが、左足、右足、それそれで違うのです。

これらを踏まえて木型補正しますが、抜けないようにと削りすぎれば履き口から出血する。
履き口が食い込んで、皮膚に赤い線が現れる。
市販品では駅まで歩けるのに、オーダー靴が5分歩けないことがおきるのです。
足の構造、歩行運動、靴の理解が無いと誤った補正をしてしまうので注意が必要です。

作った後に、きついことの調整として底面の中央部を削ったり、くぼませてはなりません。
外反拇趾で困っている方は、人差し指、中指、薬指の根元が痛くて仕方がないのです。
その部分が、歩行するたびに最初に強く当たるように加工してはなりません。
底が薄くなり、窪むことで、衝撃を吸収する骨のアーチ形状も逆アーチになり、逃げ場がない根元は痛くて痛くて歩けなくなります。

外反拇趾でなくても、その部位が直で当たるようになるので衝撃は逃げなくなります。
痛くて痛くて歩けないでしょう。
私の店に、持ち込まれた靴にそんなものがありました。
直立時の「きつい」を対処するため、ゆるさを作るのでしょうが、歩くための視点から見ると改悪です。
靴は直立だけの道具、部屋の中をちょろちょろ歩くための道具ではありません。
一時的にゆるく感じるだけで、「歩く」ことに繋がっていません。

そして、「釣り込み」の技術がないことはパンプスには、はっきりと影響でます。
引きすぎてしまいデザインのとおりに作れないのです。
甲を押さえる面がないだけで、引くとすぐにデザイン線から外れて落ちてしまう。

婦人靴なので使う革も薄くて柔らかい。
薄くて柔らかいため、落ちやすい。
紳士靴の革のように強く引けない。
女性が履くことを意識して、優しい足当たりになるよう引かなくてはならない。
引きすぎても駄目、引かな過ぎても駄目。

踵の高さも、左右で変わってしまいやすい。
履き口の深さも左右で変わってしまいやすい。

型紙の技術も影響します。
革が薄いために精度を求められるのです。
厚い革だと、精度の悪さを革の厚さがごまかしてくれるのですが、薄い革ではごまかせません。

作りにおいて考えます。
パンプスは流線形で構成されており、ドレスシューズとして存在しています。
美しく仕上げることがとても大事です。
革を薄くする作業での段差による凸凹。
組み立て作業での凸凹。
ミシンのヨレ。ミシンの脱線。シワ。
釣り込み時の叩きによる凸凹など。
美観に悪影響がないよう気をつけながら作っていきます。
そして、薄い革を加工することで必要になる強度にも気をつけながら作ります。

パンプスは、シンプルな構造体ですが、シンプルゆえの難しさがあります。
補正した木型になると、重ねて難しい。
これらを乗り越えないと、パンプスにならないのです。

紐靴とは違う難しさがあります。
紐靴作れるから、パンプス作れるとはならないのです。

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