ヒールの高さを合わせていない手製靴について
私の目線では、ヒールの高さが合っていないとか、履き口の高さが合っていないとか、そんなのはデタラメ仕事と思っています。
最近、デタラメ仕事について、思うことがありましたので書きます。
購入する方は、靴のヒールの高さが左右で合っていないなんて、思うこともないまま持ち帰ると思いますが、手製靴は簡単に「左右が合わない」が発生します。
◆最初に
・既製品は、精度を立てて作られた部品を作り、組み込むように作るので左右差は生まれません。
・社会に出回る既製品を履いてきた側からすると、そんなズレた精度の靴が存在すると思うこともありません。
・手製靴のパンプスは、3cmくらいからはヒール屋から購入するプラスチックヒールを載せるので左右差は生まれません。
ヒール屋さんが作った精度の高い部品が採用されます。
既製品のヒールは、仕様書に合わせて設計し作られた ”部品” です。
精度に差はありません。
◆ズレたヒールについて
・底材よりも上部、足が入るエリアは「木型に革を寄り添わせて癖付けて作るエリア」です。
木型があることで、木型の形には なんとなくでも必ず靴に見えてしまう エリアです。
ヒールは、無の空間に「手製靴 作成者が、自信の手で精度を立てて作っていくエリア」です。
牛革を載せて、削って、精度を立てて作ります。
木型のような定規、ガイドはありません。
手製靴の牛革を積み上げて作るヒールは、歪み、厚み、傾き、に応じて整えながら作る ”一点もの” です。
精度に差が簡単に発生します。
大きさ、形を、臨機応変に変えられるメリットがあります。
大きさ、形を、削ったり、切ったりしながら成型するので、左右差がが簡単に発生するデメリットがあります。
望ましい成型ができないと
・傾いたまま出荷する土壌があります。
・傾いたヒール、左右の高さが違うヒールが簡単にできてしまう土壌があります。
左足の小指側と親指側の高さが違う。右足も小指型と親指側の高さが違う。
地面からの高さ、4辺の全てが違うが生まれやすい土壌があります。

このような不適についてですが、
高さが違うこと、精度が違うことについては、「革靴製造一級技能士だから気付ける」ことではありません。
誰でも分かる。
踵から見れば、小学生でも分かることです。
ですが、購入する側は、靴のヒールの高さが左右で合っていないなんて思うこともない。
そんなことが起きるわけがないと、信用しているからです。
私は思います。
外観にある問題であり、誰が見ても分かることを、それを知らないふりして作り続けること。
それを知らないふりして納品すること。
技術を直すこともなく、社会に出回らせること。
傾いた家、傾いた車、買いますか?
それは、消費者への信用・信頼に対する 不正 と呼ぶのではないでしょうか。
手製靴は、 不正 が簡単に行われる土壌があります。


・外から見て分かることを直せないならば、見えない箇所は、どんな精度で作られているのですか?
私は、ヒールの高さを合わせられないことに対しては強い嫌悪感を持っています。
それは、健康被害に直結する箇所だからです。
・見て分かるところでさえも、ごまかしている職業倫理感では、「次世代へ、それでいいんだ どうせ気づかないから と悪い見本を見せている」こと。
・先人の靴職人達が積み上げてきた「履きやすい靴作り」を否定していること。
・社会に対する非倫理的な参画をしていること。
に対し強い嫌悪感を持っています。
私は、「外観だけ整え、ヒールの高さが合っていないもの」は、
「基礎を疎かにして、手順だけで作った結果」と整理しています。
靴は、健康被害を生みだす道具だからこそ、精度に対して職業人の倫理観が必要です。
外観で分かるという、誰が見ても分かる事実さえ直す気ないことは、職業倫理感のない心根と捉えています。
前から見て、かっこ良かったらいい。ハンドソーンだからいい。
そういう話ではないのです。
手作りだから。オーダー靴だから、左右差があっていいから。
そういう話ではないのです。
ヒールの高さ、踵の高さに 左右差は発生しません。
きちんと靴を作ることが大切です。


いつも、靴の写真を踵側から載せているのは見えないところまでしっかり作ります という証明です。
黒いゴムだけ地面に接しているからといって、実は、ヒールが左右差がある、傾いている。
靴本体も傾いている。
ヒールの高さも違う。左右差がある。
手製靴は、踵から見ることで技術力について沢山の情報が得られます。
そのような目線で、手作り靴はチェックしてください。
当教室のプロコースは、見せかけの靴作りをしないことを指導しています。

・黄色の辺が4辺あります。4辺の高さが全て同じかチェック。
・緑の高さ、左右同じかチェック。
・緑の辺が傾いていないかチェック。




