靴を見るということ - 白桃花靴店

靴作りに想うこと

靴を見るということ

投稿日:2019年9月20日 更新日:

靴を見るのに、これまで見てきた市販品が基準としてあるはず。
この靴はいいなぁ。
この靴かっこういいなぁ。
左右の靴を並べて見て、いいなぁと思う。

作る側は、そういう見方が薄まってきます。
手で作ると、精度が悪くなることを理解し始めるからです。
左右に並べると ??? となりやすい。

踵について。
踵はヒール部、その上に革の部分が載っています。
ヒール部をA
その上の革をB
AとBを足すとCになる。
それが、靴の履き口の高さになります。

市販品は、まずまず同じでしょう。
ですが、手作りになると すぐにぐずる。

靴は、右と左で一組です。
右と左が同じ履き口の高さであることが必要です。
左足のA 右足のAは同じ高さか。
左足のB 右足のBは同じ高さか。
左足のC 右足のCは同じ高さか。
後ろからみたら一目瞭然。

踵の深さが違うと、踵の脱げやすさ、履き心地に影響します。
同様に、内くるぶし、外くるぶしの高さも見ます。
左右の靴が同じか。

ブーツの筒の長さも同じ。
左右の靴が同じか。

パンプスであれば、えぐりまでの深さ。
片方はつま先から4cm。
片方はつま先から4.3cm。
そんなことがすぐおきます。

ストレートチップも同じ。
そういう見方をします。

靴作りしていない人は、勝手に同じだと思っていますが、ぐずりやすいのです。
何が原因かと言えば、釣り込み、注意力、そして、もう一つ。
履き口の高さは、1mm違うだけでサイズが変わってくるものです。
踵の深さが2mm違ったら、一気に抜けやすくなります。

パンプスのえぐり深さが違うと、違う顔の靴に見えてしまう。
違う顔になるだけじゃなく、履き心地も違う、履きやすさも違う。

靴作りを学んでいる方は、注意して作りましょう。

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