手作り靴のチェックポイント YouTubeで解説 その1

手作り靴のチェックポイントをYouTubeへ掲示しています。
以下にリンクを貼っています。

■ハンドソーンウエルテッド製法のすくい縫い
すくい縫いは、「アヤ」なる「緩み止め」をかけて縫うものです。
すくい糸がたるまないよう、緩まないように「緩み止め技法」を入れて縫うのですが、甘い縫いのときは先芯の一帯から糸が顔を出します。

なぜ先芯一帯なのか。
それは芯による硬さがあるため、甘い縫い、締まりのない縫いのときは「すくい糸」が顔を出しやすいのです。そして、つま先は直線が短いために縫いが甘くなりやすいのです。

ちなみに、先芯以外の場所で、すくい糸が顔を出してしまったら。。。
それは、すくい縫いが ずいぶんと不慣れとなります。
緩いし、同一線上で縫われていないからです。
すくい針で刺して開ける穴が、同一線上になっていないとなるのです。

不具合の顔を出すライン上は、ウエルトと、本体のキワです。
すくい糸がポツポツでています。
つま先周りを見ると「甘いハンドソーン」は、すぐに分かるのです。

すくい縫いの点検は簡単です。

ウエルトを指で音が出るほど弾いて、糸が見えないならば適です。

指で弾かないのに糸が見えたら、それは「アヤ・緩み止め技法」を入れて縫っている意味がありません。
まるで締まりのない縫いであり、手順をなぞっただけの芯の無いハンドソーンです。


指で弾いて糸が見えたら、すくい縫いが、かなり甘いと言えます。
これは、話にならない。
「アヤ」をかけて縫っている製法が生む利益がありません。



すくい糸が顔を出していることは、ウエルトが何かに引っかかったときに糸が切れやすい。
ウエルトが本体から外れるかもしれません。

そうなると、この製法の利益である「靴底交換できる」がどこに行ってしまうのでしょう。
美観上もすくい糸が出ていることは、望ましくありません。

ハンドソーンウエルテッド製法は、手間が多いからこそ、壊れやすい靴が生まれやすいのです。

YouTube → 手作り靴のチェックポイント すくい縫い


■靴の要は踵です。踵とヒールをきちんと作りましょう。
靴は、木型という型に巻き付けてつけるため正面から見ると「靴に見える」となります。
しかし、ヒール部は無の空間に作るために技術が求められます。
本体と違い、「型」なるガイドが無いのです。

そのため、ヒールの左右が合わない。
片足の内側と外側の高さが合わないが簡単に表れます。
左右それぞれが独立した、傾いた靴が簡単にできてしまいます。

そのことから、手作り靴は、踵から見ることで精度、練度が確認できます。

靴を見たとき。
地面に接するパーツ(ゴムや革)が「地面に接しているので適」に見えるかもしれません。

その判断は誤りです。
そのパーツが地面に接した状態で、本体との間を埋めるだけで作ると「内と外の高さが違う」
「左足、右足の踵の高さが違う」が簡単にできてしまうからです。
ここを良く見なくてはなりません。

前から見ると、靴に見える。
後ろから見ると、傾いて見える。
それが簡単に作れます。

靴は踵から着地します。
そのため、左右合わせて作ること。内と外で高さを合わせて作ることができなければ。
履き心地に影響します。
そして、歩きにくく、履きやすさが大幅減となります。

不具合のある履き心地は、健康被害に直結します。
当教室では、注意して作ることを伝えています。

YouTube →手作り靴のチェックポイント ここみる

生徒さんが作った靴 → 左右合わせています。

■当教室で大切なこととして伝えていること。
靴を靴として作ることが最も大切なことです。
製法や木型補正は、お客様の要望に応じた選択の一つでしかありません。
「靴を靴として、きちんと作られている」があっての選択です。

ですが、作れない方にはこう思われています。
「ハンドソーンウエルテッド製法は、手間がかかる難しい靴」ということは。。。
「ハンドソーンウエルテッド製法ができたら、なんでもできるようになると思っていた。」
そう、多くの生徒さんに教えてもらいました。

違います。
手順をなぞることは、誰でもできるのです。

大切なことは、
技術と技術を組み合わせて堅朗さ上げることが問われているのです。
・すくい縫いの甘いハンドソーン
・ヒールが左右あっていない手製靴
甘い作りは、お客様へ良薬のふりした毒を渡しているのと同じなのです。

このことを、生徒さんへ機会あるごとに伝えています。

靴は、健康被害をもたらすものです。
だからこそ、精度高く、しっかり作ることが大切です。