靴作りで使う道具は、全て加工することを前提に作られています。
Aさんの使い方に合わせて加工する。
Bさんの使い方に合わせて加工する。
これが前提としてあるので、少し余力というか、多めに肉付けられています。
靴作りの相談を受けたなかで思ったことなんですが、
「革包丁を砥石の上でこすっていると切れるようになる」と思っている方が多いと言うこと。
砥ぎ方があります。
切れない包丁は、怪我の原因になります。
切れない包丁では、ある一部を薄くするという作業ができません。
中敷きの下にある「中底」と呼ばれる資材を精度良く作ることができません。
包丁が切れることは、とても大切なんです。
市切りと呼ばれる道具も刃物なので、同様のことが言えます。
切れない市切りは、履き口が汚い。
がさついています。
市切りが切れることは、とても大切なんです。
切れない刃物での作業は、商品か自分に怪我させることになると言えます。
砥ぎ方を知らないと、砥石の上を往復しても切れるようになりませんし、本来性能を引き出すことができません。
仕立てたばかりの人をユーチューブに載せてますので、「切れる」ということを見てください。
革包丁が本来能力が出ているか否かの判断は簡単です。
裏刃(包丁に入っている屋号が自分の目に見えるようにして使うとき)で、革を漉こうとすると漉けません。
普通に持って、真っすぐに切ることはできるけど裏刃で切ることができない。
裏刃を使う技術がないよりも、包丁に問題ある場合の方が多いです。
そして、革を引っ張る道具、「ワニ」と呼ばれるもの。
日本の最後の職人さんは数年前に亡くなられたそうで、作れる方はもういません。
日本製は、引退された方に譲っていただくしかないのです。
日本製は手に入りませんが、材料屋さんのオリジナル や 海外製のワニは購入できます。
どちらも良質ですし問題なく作れます。
道具は、教室を運営していることもあり複数揃えているのですが、絶対に自分の道具でなければ精度悪い作業になると言うのがあります。
生徒さんは「ワニ」だと思っている方が多かったのですが、答えはハンマーです。
重さと柄が自分の手に馴染んでいるので、違うハンマーだと作れません。
ハンマーは、関東ではポンポンと言います。
俺のポンポン取って。なんて言います。
少しだけ職人っぽいですね。