自分の木型 作りたくなること

靴学び始めると、自分で削った木型で作ってみたい。
そんな思いが発生する。

木型を開発するのに、
丸太から削り出す人
ベース木型から削り出す人 がいると思います。

多くは、ベース木型から始めると思います。

片足を作って木型屋さんからコピーしてもらって、左右を揃える。
そこから、作っていく流れです。

まず、木型を作ってみたとする。
靴にしてみたとする。
なんか、もう一つこうしたいと考えた。
もう一回、載せたり、削ったりした。

載せたり、削ったりしたら容積が変わる = 型紙もズレる。型紙が合わなくなる。
そこで、木型と型紙をすぐに呼応できるか否か。
木型開発で大事なのは、木型を加工して型紙をすぐに引けるかということ。

と言うことは・・・。
木型補正は、誰でも好きに載せたり、削ったりできる。
でも、型紙は、特殊技術なので誰でもできない。

型紙は平面→立体→平面と調整するので、ヨレが必ず発生する。
このヨレは、どこで解消するか作り手による。
そこまで視野に入れて型紙作るので、型紙引けるようになるのは大変。

木型補正も、活きているか否か。
計測データ、数字で決めつけるように作るのは、誤っていると思う。
足の状態は、生理現象を止められない。
むくみ、血流、疲れ、冷え性。
それは、止められない。

データは、日々、季節、気温によって変動するもの。
一時的に測定したデータに固執して作るのは、
「あなたのデータのとおりに作りましたけど。合わないのは、こちらの責任ではない」
そう落としどころをつけるためと思う。

歩いてみないと「歩き癖」は分からない。
測定では全く分からない。

小指が痛くなりやすい。
親指が痛くなりやすい。
部屋で歩くと痛みは全くないのに、外で歩くと痛くなる。
歩くと分かる情報がある。
直立しただけのデータに固執してはならないのはそのため。

歩くというのは、片方の足が着地しているとき、片方の足は空中にいる動作。
両足が着地して、足測定している状況は動いていない静止データ。
歩いているときは、静止状態に比べ片方の足はより多くの負荷を受けている。それを繰り返して歩くになる。

そのこと、忘れている人が多い。

自分の木型を開発するためには、
歩行動作の勉強をして、実際作ってみて、歩いてみて、また作ってみて、歩いてみて。
そうやって整理していくもの。
そして、型紙はその都度引けるようにしなくてはならない。

型紙引けるようになっても、釣り込みが安定しないと活きているか分からない。
柔らかい革使ったり、硬い革使ったり、資材に大きな変化があっても分からなくなる。

型紙、釣り込み、資材選定、
歩行動作の理解
が安定すると、木型を削ることも安定する気がします。

数字に合わせて木型補正するのは、歩くために作っている作業なのか、落としどころのためなのか。
数字は、ただの参考値。
なんでもない、その日の参考値。
足を見て、触って、話し合って、いろいろな情報を得て作っていくものだと思います。

その情報を得られる力は、お客様の前に立つ作り手だけが失敗を重ねて得ていくもの。
木型を作るって 簡単じゃないでしょう。

痛くて歩けないとか、血が出るとか、悪い補正はすぐに発生するからね。

そのとき、
「あなたのデータのとおりに作りましたけど。合わないのは、こちらの責任ではない」
そんな屁理屈言いたくないから、技術に向き合っています。