靴の製法に関して

靴教室で作ることができる製法を書いてみたいと思います。
主には、以下の3つの製法で作っていきます。

セメント製法は、接着剤で靴底を貼り付けたもの。
パンプス、紐靴、なんでも作れます。

マッケイ製法は、中敷きの下にある「中底」と「靴底」を共縫いした製法。
パンプス、紐靴、なんでも作れます。

ハンドソーンウエルテッド製法は、「中底」と「ウエルト(細革)」を共縫いし、「ウエルト」と「靴底」を共縫いした製法。
二回縫うことから、複式縫いとも呼ばれます。
紐靴でしか作らない製法です。

ステッチダウン、ノルウェー、ボロネーゼ製法などもありますが割愛します。
これらも教室では作れます。

メリットとしては、
セメント製法は、接着剤にて取り付けるため、工程の簡素化が図られます。
大量生産向きであるため、市販品の殆どがこの製法と言えます。

マッケイ製法は、軽くしなやかな履き心地になるため4万円以上の紳士靴などに見受けられます。

ハンドソーンウエルテッド製法は、市販品では殆ど無く、注文靴が殆どではないでしょうか。

ハンドソーンウエルテッド製法のメリットである「靴底を交換できる」を大量生産品でも行えるようにしたものがグッドイヤーウエルテッド製法となります。

よく、製法ありきで作ろうとする方がいますが、製法は手段です。
使う方の履き方、履く場面、体調、いろいろなことを踏まえて製法を選択するものです。
それは、硬い革を使うのか、柔らかい革を使うのか。
厚い靴底にするのか、薄するのか。
資材選択と同じように考えるべきです。

セメント製法には、その製法なりの難しさがあります。
ハンドソーンウエルテッド製法には、その製法なりの難しさがあります。

高齢者には、高齢者向けの足当たりの優しい製法 と 資材選定。
ドレスシューズには、ドレス感を上げる製法 と 資材選定。
足の悪い人には、痛くなりにくい製法 と 資材選定。

履きやすい靴、歩きやすい靴を作るためには、製法ありきではなく、選択できる技量を持つことが大切ではないでしょうか。